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article 2024 13 pages

Effect of high-intensity exercise on fat oxidation followed by endurance training

OKI Shota, NABEKURA Yoshiharu

Journal
Japan J. Phys. Educ. Hlth. Sport Sci.
Study type
experimental study
Population
male athletes

Abstract

ntensity exercise on fat oxidation followed by endurance training, in order to identify potential applications of this approach to endurance competitions. Eight subjects performed 3 trials: resistance training followed by endurance training (RT+Run trial), high-intensity running followed by endurance training (HIR+Run trial), and endurance training only (Run trial). The endurance training was a 12-km run. The total cumulative fat oxidation in the RT+Run trial, HIR+Run trial and Run trial during the 12-km run was 30.0 ± 13.7 g, 34.8 ± 9.5 g and 26.9 ± 8.4 g, respectively. Only the HIR+Run trial showed significantly higher fat oxidation than the Run trial. These findings suggest that short-duration high- intensity running is suitable for increasing fat oxidation followed by endurance training. Key words : resistance training, high-intensity running, glycogen, growth hormone, catecholamine キーワード:筋力トレーニング,高強度走行,グリコーゲン,成長ホルモン,カテコールアミン OKI Shota 1 and NABEKURA Yoshiharu 2 : Effect of high-intensity exercise on fat oxidation followed by endurance training. Japan J. Phys. Educ. Hlth. Sport Sci. â… ã€€ç·’ã€€è¨€ é™¸ä¸Šç«¶æŠ€é•·è·é›¢èµ°ã®ãƒ‘ãƒ•ã‚©ãƒ¼ãƒžãƒ³ã‚¹ã¯æœ€å¤§é…¸ç´ æ‘‚å–é‡ï¼ˆä»¥ä¸‹ã€Œ V 4 O 2maxã€ã¨ç•¥ã™ï¼‰ï¼Œç„¡é…¸ç´ æ€§ä»£è¬ 閾値(以下「 %V 4 O 2max at AT」と略す),走の経 済性(以下「 REã€ã¨ç•¥ã™ï¼‰ã®ä¸‰è¦å› ã«ã‚ˆã£ã¦ç´„ 70%ã‚’èª¬æ˜Žã§ãã‚‹ã¨å ±å‘Šã•ã‚Œã¦ã„ã‚‹ï¼ˆMcLaughlin et al., 2010; Midgley et al., 2007; Takayama et al., 2018; Tjelta et al., 2012).したがって,長距離走 で優れたパフォーマンスを発揮するにはトレーニ ãƒ³ã‚°ã«ã‚ˆã£ã¦ä¸‰è¦å› ã‚’å‘ä¸Šã•ã›ã‚‹ã“ã¨ãŒé‡è¦ã§ã‚ る. 一方,42.195 km を走るマラソンは莫大なエネ ルギーを消費するため運動の主要なエネルギー源 であるグリコーゲンの節約という観点が重要な競 技になる.マラソンのエネルギー消費量は体重 60 kgã®äººã®å ´åˆã¯ç´„ 2500 kcalとなる( Margaria et al., 1963).体内に貯蔵したグリコーゲンは同 程度の体重の人で筋に約 1600 kcal,肝臓に約 400 kcalの合計約 2000 kcalしか貯蔵されていな いため,前述のマラソンの消費エネルギーを賄 えず,グリコーゲンの枯渇から走速度の失速を

V 4 O 2maxã€ã¨ç•¥ã™ï¼‰ï¼Œç„¡é…¸ç´ æ€§ä»£è¬ 閾値(以下「 %V 4 O 2max at AT」と略す),走の経 済性(以下「 REã€ã¨ç•¥ã™ï¼‰ã®ä¸‰è¦å› ã«ã‚ˆã£ã¦ç´„ 70%ã‚’èª¬æ˜Žã§ãã‚‹ã¨å ±å‘Šã•ã‚Œã¦ã„ã‚‹ï¼ˆMcLaughlin et al., 2010; Midgley et al., 2007; Takayama et al., 2018; Tjelta et al., 2012).したがって,長距離走 で優れたパフォーマンスを発揮するにはトレーニ ãƒ³ã‚°ã«ã‚ˆã£ã¦ä¸‰è¦å› ã‚’å‘ä¸Šã•ã›ã‚‹ã“ã¨ãŒé‡è¦ã§ã‚ る. 一方,42.195 km を走るマラソンは莫大なエネ ルギーを消費するため運動の主要なエネルギー源 であるグリコーゲンの節約という観点が重要な競 技になる.マラソンのエネルギー消費量は体重 60 kgã®äººã®å ´åˆã¯ç´„ 2500 kcalとなる( Margaria et al., 1963).体内に貯蔵したグリコーゲンは同 程度の体重の人で筋に約 1600 kcal,肝臓に約 400 kcalの合計約 2000 kcalしか貯蔵されていな いため,前述のマラソンの消費エネルギーを賄 えず,グリコーゲンの枯渇から走速度の失速を 引き起こすことがある( Nikolaidis and Knechtle, 2017).運動中のエネルギーとして,もう 1つの エネルギー源である脂質の利用を増やすことでグ ãƒªã‚³ãƒ¼ã‚²ãƒ³ã®æ¶ˆè²»ã‚’æŠ‘ãˆã‚‰ã‚Œã‚‹ã“ã¨ãŒå ±å‘Šã•ã‚Œã¦ いる(Costill et al., 1977; Rennie et al., 1976).その 原著論文 ä½“è‚²å­¦ç ”ç©¶ã€€ 69:285-297,2024

286大木・鍋倉 ため,マラソン中には運動のエネルギー源として 身体に蓄えた脂質を利用することでグリコーゲン を節約でき,失速を防げると考えられる.したが って,マラソンでは前述の三要因を向上させるこ とに加えて,普段のトレーニングでグリコーゲン の節約に寄与する脂質を利用する能力(以下「脂 質酸化能力」と略す」)を向上させることもパフ ォーマンスを向上させるために重要と考えられ る. 脂質酸化能力は 1回のトレーニングでより多く の脂質を酸化し,エネルギーとして利用するこ とで効率よく向上させることができる能力であ る(Van Proeyen et al., 2011; Yeo et al., 2008).競技 現場において脂質酸化量の多い練習方法は量的負 荷の高い 20 km以上にも及ぶ走り込み, 1日2回 の練習あるいは早朝空腹時の朝練習などが該当す る.しかし, 20 km以上の走り込みや 1日2回の 練習は走行距離が増えることによって怪我のリス クが高まること( Wen, 2007),早朝空腹時の朝練 習は実施時間帯が朝に限られることから時間的制 約によって取り組むことが難しいランナーもい る.もし,少ない練習量かつ実施時間帯を選ばず に脂質酸化能力を向上させるトレーニング法があ れば,ランナーにとって脂質酸化能力を向上させ るトレーニングの選択肢を増やすことになり有益 である. 先行研究によって高強度運動である筋力トレー ニングの直後に有酸素運動を実施した際に,有酸 素運動のみを実施したコントロール条件と比べて 有酸素運動中の脂質酸化量が増加したことが確認 されている(Goto et al., 2007; Kang et al., 2009). したがって,有酸素運動の前に筋力トレーニング を実施することで走行距離を適切に管理しつつ, なおかつトレーニングの実施時間帯を選ばない脂 質酸化能力向上のためのトレーニング方法となる 可能性がある.しかし,先行研究が実施した筋力 トレーニングはセット間の休息も含め合計で 40 ―60分程度を要する内容となっており( Goto et al., 2007; Kang et al., 2009),これを長距離走の競 技現場で実施することは走トレーニングの練習時 間を圧迫することになる.そのため,長距離走競 技現場に応用するには,より短時間で完了する筋 力トレーニングを実施したのちに有酸素運動中の 脂質酸化量を増加させられることが望ましいと考 えられる. 一方,筋力トレーニング後の有酸素運動中に脂 質酸化量が増加するメカニズムにはカテコールア ミン(アドレナリン,ノルアドレナリン,ドー パミンの総称)と遊離脂肪酸(以下「 FFA」と略 す)が関連していると考えられる.筋力トレー ニングは身体に蓄えた脂肪を分解する作用のあ るカテコールアミンを多量に分泌させる( French et al., 2007; Goto et al., 2007). French et al.(2007) は最大挙上重量(以下「 1RM」と略す)の 80% (80%1RM)のスクワットトレーニングを 10回を 6セット行った時にセット間で採血を行った.そ の際に, 1セット目終了時に脂肪分解作用のある 血中カテコールアミンが既に増加し, 6セット目 まで増加し続けたことを確認している.筋力ト レーニングによって分泌されたカテコールアミ ンの脂肪分解作用によって血中に FFAが増加し (Ensinger et al., 1995),運動中に脂質をエネルギ ーとして利用しやすい状態になると考えられる. このような背景から,筋力トレーニング後の有酸 素運動中には脂質酸化量が増加すると考えられ る.一方 ,カテコールアミンは高強度の走運動な ど筋力トレーニング以外でも増加することが確認 されているため( Bracken et al., 2009; Nevill et al., 1996),筋力トレーニング以外の高強度運動の実 施でも,その後の有酸素運動中の脂質酸化量を増 加させられると考えられる.同じ高強度運動であ れば,ほとんどのランナーにとって実施しやすい のは高強度の走運動であると考えられるため,本 研究では筋力トレーニングだけでなく,高強度走 行がその後の有酸素運動中の脂質酸化量に及ぼす 影響も検討する. 以上から,本研究では長距離走競技現場に応用 可能な高強度運動後の有酸素運動中に脂質酸化量 を増加させるトレーニング方法を検討することを 目的とし, 1)先行研究よりも短時間少量の筋力 トレーニングでその後の有酸素運動中の脂質酸化 量が増加するのか, 2)高強度走行でもその後の

287高強度運動直後の持久性トレーニング中の脂質酸化量 有酸素運動中の脂質酸化量が増加するのかを検討 する.French et al.(2007)は 80%1RMのスクワ ットトレーニングを 10回を6セット行った際の 1セット目終了時に既に血中カテコールアミンが 増加することを確認している.このことから,本 研究の仮説は先行研究よりも短時間少量の高強度 運動でも,その後の有酸素運動中の脂質酸化量が 増加するとした . Ⅱ 方 法 1. 対象者 対象者は週 2回以上の有酸素運動の習慣がある 男性8名とした. Table 1に対象者のプロフィー ルを示した.対象者全員が過去に運動部などの練 習の一環で筋力トレーニングの経験があった.本 研究は,ヘルシンキ宣言で定められたガイドライ ンに基づき,筑波大学の研究倫理委員会の承認を 経て実施された. 2. 実験デザイン 対象者は実験室へ合計 6回来室した. 1回目は 慣れ試行とし,トレッドミルの走行とバーベル を担いだスクワットの動作を練習した. 2回目と 3回目の来室ではトレッドミルによる漸増負荷試 験かバーベルスクワットによる 1 RM試験をラン ダムで実施した. 4回目から 6回目は脂質酸化量 評価試験とし,筋力トレーニング後にトレッド ミル上にて低強度の持続走( Resistance training + Running trial,以下「RT+Run 条件」と略す)を行 う条件と高強度走行後に持続走を行う条件( High- intensity Running + Running trial,以下「 HIR+Run 条件」と略す)およびコントロール条件として 持続走のみを行う条件(Running trial,以下「Run 条件」と略す)の計 3条件をランダムに実施した. 3. 測定項目 脂質酸化評価試験に用いる運動強度を算出す るために漸増負荷試験およびスクワット 1 RM 試験を行った.漸増負荷試験中は呼気ガス分析 器(AE310-S,ミナト医科学 )を用いて,運動中 連続的に酸素摂取量(以下「 V 4 O 2」と略す)と 二酸化炭素排出量(以下「 V 4 CO 2」と略す)を測 定した.呼気ガス分析器は,大気(酸素濃度: 20.90%,二酸化炭素濃度: 0.05%,窒素:バラン ス)および校正ガス(酸素濃度: 13.0%,二酸化 炭素濃度: 5.01%,窒素:バランス)を用いて, 校正を行った.熱線流量計は,流量校正器( 2L) を用いて校正を行った.流量センサーおよびガス サンプリングチューブは蛇管を通して呼気マス クに接続された.心拍数( Heart rate,以下「 HR」 と略す)は,対象者に胸部心拍計( H7,Polar, Kempele)を装着させ,腕時計( m400,Polar, Kempele)と同期させ測定した.主観的運動強度 (Ratings of perceived exertion,以下「 RPE」と略 す)は, Borgスケール( 6―20)を用いて記録し た.スクワット 1 RM測定はオリンピックシャフ ト(FitElite)とウエイトプレート(FitElite)を使 用し測定した . 脂質酸化評価試験中も漸増負荷試験と同様に呼 気ガス分析器を使用し,運動中連続的に V 4 O 2と V 4 CO 2を測定した.持続走中は対象者に定期的に RPEを聞き取った.試験中に指先採血によって 血中乳酸値を測定した(Lactate pro 2,Arkray). 4. 運動試験およびデータの解析 4.1 漸増負荷試験 漸増負荷試験は実験室内のトレッドミル (ORK7000,大武ルート工業社)にて, 1%の傾 斜をつけて( Jones and Doust, 1996)実施した. 対象者には試験前日の激しい運動を控えること, 当日は試験開始まで運動を行わないことを指示し た.当日の食事は試験開始 3時間前までに済ます ように指示した.試験は初めにウォーミングアッ プ(以下「W-up」と略す)走行を 9 km·h -1 で5分 間実施した.その後 5分の休息を挟み,漸増負荷 Table 1 Variables of subjects. Variables mean±SD (n=8) Height (cm) 174.3±4.1 Weight (kg) 63.0±8.9 Age (year) 23.4±2.7 Values are mean±SD.

288大木・鍋倉 試験を開始した. 1ステージ目は 9 km·h -1 で3分 間走行し,その後速度を 0.6 km·h -1 増加させた. 以降は1分毎に0.6km·h -1 ずつ漸増させていき, 対象者が走行不能の意思表示をするまで実施し た. 運動中に取得した各呼気ガスパラメーターおよ びHRは1分毎に平均処理した. V 4 O 2maxは平均 処理した 1分間のデータの最高値とし,次の判定 基準のうち 2つ以上が満たされていることを確認 されたものとした.呼吸交換比(以下「 RER」と 略す)が 1.10以上,最大心拍数が( 220-年齢) にほぼ達していること, V 4 O 2のプラトーが出現す ることのいずれか 2つ以上の条件を満たされてい ることを確認した.脂質酸化量評価試験の持続走 および高強度走行に用いる運動強度を求めるた めに,V 4 O 2に対する V 4 CO 2の屈曲点から換気性閾 値(以下「VT」と略す)を決定し( Beaver et al., 1986; Lourenço et al., 2011), 90%VT時の走速度を 算出した.さらに,各走速度で得られた V 4 O 2お よびV 4 O 2maxから回帰直線を求め, 110%V 4 O 2max に相当する走速度( 110% velocity V 4 O 2max,以下 「110%vV 4 O 2max」と略す)を算出した. 4.2 スクワット 1 RM 試験 スクワット 1 RM試験は実験室内で 20 kgのオ リンピックシャフトを用いて測定した.対象者に は試験前日の激しい運動を控えること,当日は 試験開始まで運動を行わないことを指示した. W-upとしてトレッドミル走行とバーベルスクワ ットを実施した.トレッドミル走行は 8 km·h -1 で 5分間の走行を実施した.トレッドミル走行が終 了した2分後にバーベルを担いだスクワットにて W-upを行った.スクワットのフォームは W-up および1 RM測定ともに大腿部が床と平行になる まで下げるように指示した.スクワットによる W-upは初めにオリンピックシャフトのみで 10回 の挙上,次に推定 50%1RMで5回の挙上,最後 に推定70%1RMで3回の挙上を実施した. W-up のスクワット間は 2分の休息を取りながら実施 した.全ての W-upが終了した 3分後に1 RM測 定を開始した.最初の設定重量は検者と対象者 で相談の上決定した.対象者が設定重量を 1回挙 上することに成功したら, 3分の休息後に重量を 2.5 kgから5 kgの範囲で追加して次の試行を実施 した.以降,対象者が設定重量の挙上を連続 2回 失敗するまで同工程を繰り返し,最後に挙上に成 功した試技を対象者のスクワット 1 RMとした. 挙上失敗の判定は対象者が自力で挙上できない場 合および大腿部が床と平行まで下がっていなかっ た場合とした.スクワット 1 RM測定は筋力トレ ーニングに習熟した検者によりモニタリングしな がら行った.対象者のスクワット 1RMは4.6± 1.2回の試行で決定でき,得られた 1 RMから脂 質酸化量評価試験で行う筋力トレーニングの強度 (85%1RM)を算出した. 4.3 脂質酸化量評価試験 脂質酸化量評価試験は午前 9:00―10:00 の間 に開始し,午前中に終了するように設定した.サ ーカディアンリズムを考慮し,同一被験者で全て の条件は同じ時間に実施した.対象者には試験前 日の激しい運動を控えること,当日は試験開始ま で運動を行わないことを指示した.食事の統制 は,規定食は支給しなかったものの各条件実施日 の前日の夕食と当日の朝食は毎回同じものを同じ 時間に食べること,また,当日の朝食は試験開始 4時間前までに済ますように指示した.対象者は W-up開始30分前に実験室へ来室し安静にて過ご した.W-up 開始前に指先採血により血中乳酸値 (以下「 BLa」と略す)の測定を実施した. W-up は90%VT強度で1 kmの走行をトレッドミルで 実施した. W-upが終了した 5分後にRT+Run条 件とHIR+Run条件では高強度運動を実施し, Run 条件では安静のまま 2分間過ごした. RT+Run条 件では高強度運動として 85%1RMのスクワット トレーニングを 1セットあたり 5回実施し,セッ ト間に3分間の休息を挟みながら合計 6セット実 施した.本研究の筋力トレーニングは休息を含め 20分以内に終わる内容であり,Goto et al.(2007) およびKang et al.(2009)が実施した筋力トレー ニングの所要時間(約 40―60 分)の1/2以下で あった.本研究における筋力トレーニングの強度

289高強度運動直後の持久性トレーニング中の脂質酸化量 は,先行研究から 80%1RMでカテコールアミン が分泌されていること,および 80%1RM以上の 筋力トレーニングは神経系の改善によりランナ ーのREが改善する有益なトレーニング方法であ るとされていることを根拠に設定した( French et al. 2007; Storen et al., 2008). HIR+Run条件では高 強度運動として 110%vV 4 O 2maxで600mの走行を 実施し,この運動は約 2分(1.8±0.2分)で終了 した.RT+Run 条件とHIR+Run条件の高強度運 動,Run 条件の安静 2分間の終了後には BLaの 最大値が得られるまで終了 1分後から 2分毎に 指先採血により BLaを測定した. RT+Run条件と HIR+Run条件の高強度運動, Run条件の安静 2分 間の終了 15分後に持続走を開始した.持続走は 90%VT強度による 12 kmの走行をトレッドミル で実施した.対象者がトレッドミル走行中には 1 km走行毎に RPEを聞き取った.持続走終了直後 に指先採血により BLaを測定し試験を終了した. 各条件の W-up中および持続走中に呼気ガス分 析器で連続的に採集した V 4 O 2とV 4 CO 2は1 km毎 の平均値で算出した.試験中に得られた V 4 O 2と V 4 CO 2からFraynの式を用い糖質酸化量(式 1) と脂質酸化量(式 2)を算出した(Frayn, 1983). また,エネルギー消費量を Weirの式(式 3)を 用い算出した(Weir, 1949). 式1) 糖質酸化量= 4.55×V 4 CO 2(L·min -1 )-3.21 ×V 4 O 2(L·min -1 ) 式2) 脂質酸化量= 1.67×V 4 O 2(L·min -1 )-1.67× V 4 CO 2(L·min -1 ) 式3) エネルギー消費量= 3.9×V 4 O 2(L·min -1 ) +1.1×V 4 CO 2(L·min -1 ) 5. 統計分析 数値は全て平均値±標準偏差で示した.各条 件間の比較には反復測定一元配置分散分析を用い た.持続走中の時系列データには条件と距離を二 要因とした反復測定二元配置分散分析を用いた. 主効果および交互作用が認められた場合には,事 後検定として Bonfferoni検定を行った.統計分析 には統計解析ソフト SPSS Statistics Ver.27.0(IBM) を用いて行った.有意水準は p < 0.05とした. Ⅲ 結 果 1. 漸増負荷試験およびスクワット 1RM 試験 漸増負荷試験およびスクワット 1RM試験の 結果をTable 2に示す.対象者の V 4 O 2maxは59.1 ±6.0 ml·kg -1 ·min -1 ,スクワット 1 RMは79.5± 13.7 kgであった. 2. 高強度運動直後の血中乳酸濃度 RT+Run条件の筋力トレーニング後の BLaの 最大値は 3.0±1.5 mmol·l -1 ,HIR+Run条件の高強 度走行直後の BLaの最大値は 10.6±1.3 mmol·l -1 , 同測定タイミングでの Run条件のBLaは1.2± 0.3 mmol·l -1 であった(Figure1). 3. 持続走中の生理学的変数 各条件の W-up中および持続走中の各指標の平 均値をTable 3に示す.各条件で W-up中のV 4 O 2 およびV 4 CO 2に有意差はなかった. HIR+Run条 件はRun条件と比べて持続走 12 km平均のRER (HIR+Run条件:0.87±0.03,Run条件:0.90±0.02), 糖質酸化量( HIR+Run条件:2.03 ±0.37g·min -1 , Run条 件:2.37 ±0.23g·min -1 ),脂質酸化量 (HIR+Run条 件:0.59 ±0.10g·min -1 ,Run条 件: 0.45±0.08 g·min -1 ),糖質酸化割合( HIR+Run条 件:54.8±9.5%,Run 条件:65.2±6.1%)および 脂質酸化割合(HIR+Run 条件:45.2±9.5%,Run 条件:34.8 ±6.1%)に有意差があった(全て p < 0.01). RT+Run条件の持続走 12 km平均の糖質 Table 2 Physiological Variables of subjects Variables mean±SD (n=8 ) V 4 O 2max (ml·kg -1 ·min -1 ) 59.1±6.0 110%vV 4 O 2max (km·h -1 ) 19.9±1.7 vVT (km·h -1 ) 13.5±1.8 90%vVT (km·h -1 ) 12.2±1.6 Squat 1RM (kg ) 79.5±13.7 Squat 85%1RM (kg ) 67.6±11.7 Values are mean±SD.

290大木・鍋倉 酸化量は 2.29±0.22 g·min -1 ,脂質酸化量は 0.51± 0.07 g·min -1 であり,Run条件と比較して有意差は 確認できなかった. RT+Run条件はHIR+Run条 件と比較し,持続走 12 km平均において全ての項 目に有意差は確認できなかった. Figure 2には各条件の炭水化物酸化積算量と脂 質酸化積算量の経時変化を示した.炭水化物酸 化量には条件と距離にそれぞれ主効果が認めら れ,条件×距離に交互作用も認められた.炭水 化物積算量が最も多かったのは Run条件(141.9 ±1.2g)であり, HIR+Run条件(122.6±2.2g)と 比較した際には 1kmから12kmの全てで有意差 が確認された(6 km までp < 0.001,7km 以降p < 0.01).また, HIR+Run条件とRT+Run条 件(137.4 ±2.4g)では 1kmから7kmまでで有意差が確認 された(4km までp < 0.01,5km 以降p < 0.05). 脂質酸化積算量は条件と距離にそれぞれ主効果が 認められ,条件×距離に交互作用も認められた. 脂質酸化積算量が最も多かったのは HIR+Run条 件(34.8 ±9.5g)であり, Run条件(26.9±8.4g) と比較した際には 1kmから12 kmの全てで有意 差が確認された( 8kmまでp<0.001,9km 以降p < 0.01).また, HIR+Run条件とRT+Run条 件(30.0 ±13.7g)を比較した際には 1kmから4kmまでで 有意差が確認され( 2kmまでp < 0.01,3km 以降 p < 0.05),5 km 以降は有意差が確認されなかった. Ⅳ 考 察 1. 主な結果 本研究で得られた主な結果は, 1)HIR+Run 条 件ではRun条件と比べて脂質酸化量が有意に増 加した, 2)HIR+Run 条件はRT+Run条件と比べ て脂質酸化積算量が 4 kmまで有意に増加してお り,有意差は確認されなかったが 12 km合計の 脂質酸化積算量も増加していたこと, 3)RT+Run 条件では Run条件と比べて脂質酸化量が有意に は増加しなかったことである. 2. HIR+Run 条件の脂質酸化量増加の背景およ び RT+Run 条件との比較 本研究では,同じ高強度運動であれば,高強度 走行でもその後の有酸素運動中の脂質酸化量が増 加することを予想し, 600 mの高強度走行を行う HIR+Run条件を実施した.その結果, HIR+Run 条件では Run条件と比較し脂質酸化量が有意に 増加し, RT+Run条件との比較では脂質酸化積算 量で4 kmまで有意差が得られ, 12 km積算量で は有意差こそ得られなかったが,多くの脂質を酸 化していた(34.8 ±9.5g vs. 30.0±13.7g). 運動様式の違いがあるため単純な比較はでき ないが, RT+Run条件とHIR+Run条件の大きな 違いは高強度運動後の BLaの最大値である. RT+Run条件ではスクワットトレーニング後の BLaの最大値は 3.0±1.4 mmol·l -1 であったが, HIR+Run条件では 600 m走行後の BLaは10.6± 1.3 mmol·l -1 であった.運動のエネルギー供給シ ステムには ATP-PCr系、解糖系および有酸素系 の3つがある. ATP-PCr系および解糖系は主に筋 力トレーニングや短距離走などの短時間で終了 する高強度運動で積極的に利用され,運動を開 始してから 6―10秒までは ATP-PCr系が運動の 主なエネルギー供給源であり,その後は解糖系 が主なエネルギー供給源となる( Hargreaves and Spriet, 2020). BLaは解糖系によってグリコーゲ ンを利用した際に産生される代謝産物であり,そ の産生量は運動強度および運動時間によって決定 0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0 14.0 Run trialRT+Run trialHIR+Run trial BLa(mmol·l -1 ) a,b a Figure 1 Peak blood lactate after high intensity exercise and rest(Run trial). The RT+Run trial and the HIR+Run trial had significantly higher blood lactate than the Run trial. The HIR+Run trial had significantly higher blood lactate than the RT+Run trial. a: Significantly higher than the Run trial. b:The HIR+run trial was significantly higher than the RT+run trial.. Figure 1 Peak blood lactate after high intensity exercise and rest (Run trial). The RT+Run trial and the HIR+Run trial had significantly higher blood lactate than the Run trial. The HIR+Run trial had significantly higher blood lactate than the RT+Run trial. a: Significantly higher than the Run trial. b: The HIR+run trial was significantly higher than the RT+run trial.

291高強度運動直後の持久性トレーニング中の脂質酸化量 Table 3 Physiological Variables during W-up and 12 km Running Variables Run trial RT+Run trial HIR+Run trial W-up Running V 4 O 2 (ml·min -1 ) 2607.1±253.4 2637.4±229.3 2635.3±247.5 V 4 CO 2 (ml·min -1 ) 2360.3±145 2346.0±92 2301.3±118.6 12 km treadmill Running V 4 O 2 (ml·min -1 ) 2694.4±105.8 2739.5±97.5 2721.9±98.4 V 4 CO 2 (ml·min -1 ) 2422.6±101.7 2435.1±104.6 2367.1±144.4 RER 0.90±0.02 0.89±0.02 0.87±0.03 a HR (bpm ) 148.3±9.8 150.9±10.9 150.4±8.0 Carbohydrate oxidation (g·min -1 ) 2.37±0.23 2.29±0.22 2.03±0.37 a Fat oxidation (g·min -1 ) 0.45±0.08 0.51±0.07 0.59±0.10 a Carbohydrate oxidation ratio (% ) 65.2±6.1 61.6±5.4 54.8±9.5 a Fat oxidation ratio (% ) 34.8±6.1 38.4±5.4 45.2±9.5 a Energy expenditure (kcal·min -1 ) 13.2±0.5 13.4±0.5 13.2±0.5 RPE 11.2±0.5 11.5±0.3 12.0±0.4 Values are mean±SD. a: Significantly higher than the Run trial. される( Beneke et al., 2011).したがって,本研 究の高強度走行は RT+Run条件のスクワットトレ ーニングよりもエネルギー代謝システムにおける 解糖系をより動員した運動であったと言える.貯 蔵グリコーゲン量が減少した状態での運動の実施 は脂質酸化量を増加させることが確認されており (Van Proeyen et al., 2011; Yeo et al., 2008),本研究 のHIR+Run条件は高強度走行で貯蔵グリコーゲ ンを利用し持続走開始時の貯蔵グリコーゲンが他 の条件よりも少なかったため,持続走中の脂質酸 化量が多くなったと考えられる. 高強度の走行は脂肪分解作用を持つ成長ホル モン(以下「 GH」と略す)やカテコールアミン の動態にも影響を与えることが報告されている (Bracken et al., 2009; Nevill et al., 1996).自走式ト レッドミルでの 30秒スプリント運動で GHの分 泌(Nevill et al., 1996), 6秒スプリント運動を 10 回繰り返した際にカテコールアミンの分泌が確認 されていることから(Bracken et al., 2009), 600 m の高強度走行では GHとカテコールアミンの分 泌が生じていた可能性がある.このことから, 600 mの高強度走行では貯蔵グリコーゲンの減少 および脂肪分解作用を持つホルモンの影響によっ て,その後の持続走中の脂質酸化量が増加した可 能性がある. 3. 高強度運動が有酸素運動中の代謝経路に及ぼ す影響 本研究は高強度運動が直後の有酸素運動中の代 謝に及ぼす影響を観察するまでに留まる研究であ る.したがって,本研究で取得した指標からは高 強度運動がその後の有酸素運動中の脂質酸化量を 増加させるメカニズムまでは特定できないため, 本研究の考察におけるメカニズムに関する言及は 先行研究を基にした推察であることに注意された い. 有酸素運動中の脂質酸化量を増加させる要因に は脂肪分解作用を持つホルモンである GHとカテ コールアミンおよび身体の貯蔵グリコーゲン量 の多寡が挙げられる( Ensinger et al., 1995; Møller et al., 1990; Mora-Rodriguez and Coyle, 2000; Van Proeyen et al., 2011; Yeo et al., 2008).高強度運動 を行うと, GHとカテコールアミンの増加やグリ コーゲンの急速な減少が期待できる( Bracken et al., 2009; Goto et al., 2007; Nevill et al., 1996).高強 度運動によるこれらのホルモンの増加やグリコー ゲンの減少は脂質と糖質の代謝に関わる AMP活 性化プロテインキナーゼ( AMPK)とピルビン酸

292 大木・鍋倉 デヒドロゲナーゼ 4(PDK4)を活性化させ,運 動中の代謝経路に影響を及ぼす可能性がある. AMPKは細胞のエネルギー動態をコントロー ルし,基質酸化に影響を及ぼす因子であり,運動 によるグリコーゲン貯蔵量の減少( Wojtaszewski et al., 2003)やクレアチンリン酸(PCr)などの体 内のエネルギー基質の減少によって活性化される (Winder and Hardie, 1999). AMPKの活性化は血 中から細胞への脂質の取り込みやグルコースの取 り込みを増加させることから(Wojtaszewski et al., 2003),脂質酸化量の増加に寄与していることが 考えられる.高強度運動は急速に体内のエネルギ ー基質の減少を引き起こすため(Gorostiaga et al., 2012; Vigh-Larsen et al., 2021),短時間で AMPK を活性化させることができる運動と考えられる. 血中にFFAが増加することによって糖質酸化 の抑制に影響する PDK4が活性化することが考 えられる.高強度運動はカテコールアミン等の 0 20 40 60 80 100 120 140 160 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 Carbohydrate oxidation accumilation(g) Distance(km) Run trialRT+Run trialHIR+Run trial a,b a,b a,b a,b a,b a,b a,b a a a a a 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 Fat oxidation accumilation ( g ) Distanace(km) Run trialRT+Run trialHIR+Run trial a,b a,b a a,b a,b a a a a a a a Figure 2 Carbohydrate and fat oxidation accumulation during 12 km treadmill running. The upper figure shows the amount of carbohydrate oxidation during the 12 km treadmill running. The HIR+Runtrial had significantly less carbohydrate oxidation than the Run trial at all time points during the 12 km treadmill running. The HIR+Runtrial had significantly less carbohydrate oxidation than the RT+Runtrial up to the 7 km point during the 12 km treadmill running.The figure below shows fat oxidation during the 12 km treadmill running. The HIR+Runtrial had significantly more fat oxidation than the Run trial at all time points during the 12 km treadmill running. The HIR+Runtrial had significantly more fat oxidation than the RT+Runtrial up to the 4 km point during the 12km treadmill running. a: significant difference between Run trialand HIR+Run trial.b:significant difference between RT+Runtrialand HIR+Runtrial. Figure 2 Carbohydrate and fat oxidation accumulation during 12 km treadmill running. The upper figure shows the amount of carbohydrate oxidation during the 12 km treadmill running. The HIR+Run trial had signifi cantly less carbohydrate oxidation than the Run trial at all time points during the 12 km treadmill running. The HIR+Run trial had signifi cantly less carbohydrate oxidation than the RT+Run trial up to the 7 km point during the 12 km treadmill running. The figure below shows fat oxidation during the 12 km treadmill running. The HIR+Run trial

had signifi cantly less carbohydrate oxidation than the Run trial at all time points during the 12 km treadmill running. The HIR+Run trial had signifi cantly less carbohydrate oxidation than the RT+Run trial up to the 7 km point during the 12 km treadmill running. The figure below shows fat oxidation during the 12 km treadmill running. The HIR+Run trial had signifi cantly more fat oxidation than the Run trial at all time points during the 12 km treadmill running. The HIR+Run trial had signifi cantly more fat oxidation than the RT+Run trial up to the 4 km point during the 12km treadmill running. a: signifi cant diff erence between Run trial and HIR+Run trial. b: signifi cant diff erence between RT+Run trial and HIR+Run trial. 0 20 40 60 80 100 120 140 160 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 Carbohydrate oxidation accumilation ( g ) Distance(km) Run trialRT+Run trialHIR+Run trial a,b a,b a,b a,b a,b a,b a,b a a a a a 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 Fat oxidation accumilation(g) Distanace(km) Run trialRT+Run trialHIR+Run trial a,b a,b a a,b a,b a a a a a a a Figure 2 Carbohydrate and fat oxidation accumulation during 12 km treadmill running. The upper figure shows the amount of carbohydrate oxidation during the 12 km treadmill running. The HIR+Runtrial had significantly less carbohydrate oxidation than the Run trial at all time points during the 12 km treadmill running. The HIR+Runtrial had significantly less carbohydrate oxidation than the RT+Runtrial up to the 7 km point during the 12 km treadmill running.The figure below shows fat oxidation during the 12 km treadmill running. The HIR+Runtrial had significantly more fat oxidation than the Run trial at all time points during the 12 km treadmill running. The HIR+Runtrial had significantly more fat oxidation than the RT+Runtrial up to the 4 km point during the 12km treadmill running. a: significant difference between Run trialand HIR+Run trial.b:significant difference between RT+Runtrialand HIR+Runtrial.

12 km treadmill running. The HIR+Runtrial had significantly more fat oxidation than the Run trial at all time points during the 12 km treadmill running. The HIR+Runtrial had significantly more fat oxidation than the RT+Runtrial up to the 4 km point during the 12km treadmill running. a: significant difference between Run trialand HIR+Run trial.b:significant difference between RT+Runtrialand HIR+Runtrial.

293高強度運動直後の持久性トレーニング中の脂質酸化量 脂肪分解作用を持つホルモンの分泌を増加させ, その結果として血中に FFAを増加させる( Goto et al., 2007; Mora-Rodriguez and Coyle, 2000). こ のFFAは代謝の過程でアセチル CoAに変換され た後,TCA サイクルにて酸化される( Achten and Jeukendrup, 2004).ミトコンドリア内のアセチル CoA濃度が増加すると糖質の酸化に重要なピル ビン酸デヒドロゲナーゼ(PDH)の活動を阻害す る作用を持つ PDK4が活性化することが知られて いる(Calvani et al., 2000; Sugden, 2003).このこ とから,高強度運動を行うことで最終的に PDH の活動を抑制し,その後の有酸素運動中の糖質酸 化が抑制され,一方で脂質酸化が促進されるとい ったメカニズムが考えられる. これらをまとめると,高強度運動を行うことで グリコーゲン等のエネルギー基質が急速に利用さ れることにより AMPKが活性化し,さらに血中 のFFAの増加による PDK4を経由した PDHの活 動抑制を契機に糖質酸化の抑制および脂質酸化の 促進を起こし,その後の有酸素運動中の脂質酸化 量が増加することが考えられる . 4. RT+Run 条件において持続走中の脂質酸化量 の増加が生じなかった背景 先行研究では筋力トレーニング後に有酸素運動 を行うと,有酸素運動中の脂質酸化量が増加する ことが報告されている( Goto et al., 2007; Kang et al., 2009).しかし,先行研究が実施した筋力トレ ーニングは 40―60 分程度を要する運動となって おり,長距離走の競技現場で実施することを想定 すると,走トレーニングの練習時間を圧迫してし まうと考えられる.そこで,本研究では競技現場 での実践を念頭に入れ,先行研究よりも短時間少 量で終わる筋力トレーニングを実施しその後に有 酸素運動を実施したが,本研究の RT+Run条件は Run条件と比べて脂質酸化量の有意な増加は確認 されなかった . 80%1RMの強度で 1セット10回を2分の休息 を挟みながら 6セット実施したレッグプレスで 1 セット目終了時から血中カテコールアミンは増 加することが確認されているため( French et al., 2007),本研究で実施した 1セットあたり 5回反 復し,セット間に 3分の休息を挟みながら合計 6 セット実施したスクワットトレーニングにおいて も血中カテコールアミンは増加していたと推測で きる.一方,カテコールアミンはその血中濃度 が脂肪分解に影響を及ぼすことが考えられる. Mora-Rodriguez and Coyle.(2000)は 7名の健康 な男女を対象に血中アドレナリン濃度が運動へ及 ぼす影響を検討した.この研究では,アドレナリ ン注入条件下での運動を低濃度条件,中濃度条件 および高濃度条件の 3条件を実施した.その結果, 低濃度条件は中濃度条件および高濃度条件よりも 血中のFFA濃度が低かったことが確認された. このことから,本研究の筋力トレーニングでは血 中のカテコールアミンは増加していたことが考え られるが,その濃度は血中の FFAを増加させる ほどではなかったと考えられる. 一方,筋力トレーニングにはカテコールアミ ンと同じく脂肪分解作用を持つ GHを分泌させる 作用がある( Goto et al., 2007).しかし,筋力ト レーニングによって GHが分泌されるか否かは その実施方法に左右される( Kraemer et al., 1991; Mangine et al., 2015). Kraemer et al.(1991)は上 肢下肢含めた 8種目の筋力トレーニングを 10RM の強度で 3―5セットを 1分間の休息を挟みなが ら行う中強度中回数かつ休息時間を短く取るタイ プの筋力トレーニングと同じ 8種目を5RMの強 度で3―5セットを 3分間の休息を挟みながら行 う高強度低回数かつ休息時間を長く取るタイプの 筋力トレーニングを実施した.この結果, 10RM の強度で筋力トレーニングを行った条件では GH の分泌が確認され,一方 5RMで筋力トレーニン グを行った条件では 10RMの筋力トレーニング ほどGHの分泌が生じないことを確認した.本研 究の筋力トレーニングは Kraemer et al.(1991)の 5RMの筋力トレーニングと同様に高強度低回数 かつ休息時間を長く取るタイプの筋力トレーニン グであり,さらに実施したトレーニングが 1種目 のみであったため, GHはほとんど増加していな かったと推測され, GHを起因とする脂肪分解に よるFFAの増加は生じていなかったと考えられ

Description

This study investigates the effects of short-duration high-intensity exercise on fat oxidation.